本日紹介する本は、三浦綾子著「母」です。(昨日紹介するのを見事にサボりました。)
「母」は心が温まる小説でございます。先日紹介した「蟹工船」の著者、小林多喜二の母の語り口になっております。おそらく実話を元に書かれた小説です。綾子さんの筆力が窺えます。
母の子に対する想い。そして多喜二の優しくまじめな性格。本当にすばらしい人格を備えた家族なんだなぁと思いました。貧しくとも温かい心を持ち得ることは本当にすばらしいです。
思想を持っただけで殺される時代、貧乏ゆえに子供が身を売らなければならなかった時代に憤りを感じました。恐ろしいですね。
母の、子を拷問で殺されたときの悲しさが描写されておりましたが、読むのが辛くなるほどでした。子に先に死なれた母がかわいそうでした・・・。
「蟹工船」のヒットで拷問され、多喜二は殺されたのです。多喜二はずっと小説で、どんな人々も幸せに生きられるような社会を訴え続けてきました。現代であれば正しい人。多くの人の苦しみを、代弁して殺されてしまったのです。
母を思い泣きたいのならば、母の一途な愛を知りたいのなら、是非!
母 (角川文庫)
- 作者: 三浦 綾子
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1996/06
- メディア: 文庫
2013-06-10 23:55
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