残酷な人体実験が実際に行われていた 海と毒薬 [本 レビュー]
かなり昔に読んだ作品なので紹介文を書くのが大変ですが、本日は遠藤周作の「海と毒薬」を紹介致します。まずはどんなあらすじか。アマゾンの商品説明からの抜粋です(手抜き)
「戦争末期の恐るべき出来事――九州の大学付属病院における米軍捕虜の生体解剖事件を小説化、著者の念頭から絶えて離れることのない問い「日本人とはいかなる人間か」を追究する。解剖に参加した者は単なる異常者だったのか? どんな倫理的真空がこのような残虐行為に駆りたてたのか? 神なき日本人の“罪の意識"の不在の無気味さを描き、今なお背筋を凍らせる問題作。」
まさに”背筋を凍らせる問題作”でした。目を背けたくなるような事件。残酷な人体実験が実際にされていたとは。先日紹介した蟹工船の時代も然り、特に戦時中は酷い時代で、今がどれだけ幸せかがわかります。
権威体制、権力闘争の集団心理下における医師達の地位争いはあまりに残酷で、命よりも自分の地位を選ぶ、醜悪な人間の姿が表現されておりました。戦時中の極限状態になると誰もがこのように恐ろしく豹変してしまうのでしょうか・・・。
信仰を持たない日本人の罪の意識。それを考えさせられた作品でした。
・罰を恐れるが罪を恐れない。
・罰がある故に罪悪感がある。
・日本人の罪と罰の意識とは世間や社会の反応によって変わる
罪と罰。
これは人間の永久的な大問題であり、解決の余地はないといって過言ではありません。あまりに残酷で読むのが辛いかもしれません。ですが、一人の日本人としてきちんと向き合うべきです。
2013-06-13 23:14
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