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最高傑作 谷崎潤一郎 細雪 レビュー [本 レビュー]

こんな分厚い昔の本を読む人はなかなかいないと思うので紹介というよりは感想ですが・・・こちら私 の持っているのは上・中・下と本来三冊ある本が一冊になったモノです。あの有名な谷崎の「細雪」です。最高の(美しい)文章のなかにおもしろいストーリー がある。だから私は谷崎を好んで読みます。眠くなるようなつまらない小説を彼は書きません。飽きさせず、日本語の勉強にもなり、やめられません。こちらの 本、1000ページを越える大作であります。三島由紀夫氏も最高傑作と評した作品。

本書の会話文は船場言 葉。大阪弁?の一種です。4姉妹が登場します。三女の雪子が、美人なのに引っ込み思案で、しかもグダグダと日本の良家独特のしきたりで、相手のことを調べ 尽くしてチョットでも難点があったら没にしたりと、なかなか縁談が決まらないという話しがしばらく続きます。そういう日本のしきたりを引きずるのは現代か ら見れば馬鹿馬鹿しいですね。
こういう封建的な生活を知らない私は、現代からは隔世の感のある戦前の上流階級文化が新鮮だからというだけでなく、優美な世界に没頭できる筆致が心地よく、贅沢な時間を過ごせました。

豪華絢爛と呼ぶにふさわしいのは、伝統行事の描写であります。花見、螢狩り、月見を楽しむ姉妹達。わけても京都嵐山における花見の描写は美しすぎて圧倒されます。まるでその場で自分も花見をしているかのようです。頭の中に京都の桜が次々に咲いて巡ります。

そして、この小説をよりいっそう美しくしているのは、船場言葉で会話されているからでしょう。これがもし標準語の小説であったら、その魅力は半減どころか全くなくなってしまいます。

例えば今ちょうど開いたページの台詞はこんな感じ。
「お久どんやったら黙っていたかて、御飯のお数なんかちゃんと自分で考えて拵えるのんに、あの娘は六年も奉公してながら、いまだにあたしがこないこないせ え云わなんだら、何一つよう拵えへん。御飯時にお腹空かして帰ってきて、何ぞしといてくれたかいな云うと、いいえまだでございます云うねんもん」

細雪 (中公文庫)

細雪 (中公文庫)

  • 作者: 谷崎 潤一郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 1983/01/10
  • メディア: 文庫

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