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残酷なまでの強制労働 蟹工船・党生活者 レビュー [本 レビュー]

本日紹介する本は「蟹工船・党生活者」です。
映画化もされ、かなり有名な作品で、日本のプロレタリア文学を代表する作品でもあります。作家の小林多喜二さんは、母親思いのとてもすばらしい人格の持ち主でしたが、この小説を書いて警察に拷問され、殺されました。かわいそうで仕方ありません。強制的に働かせる時代、少しの反抗も許されなかったのでしょう・・・。

蟹工船は、強制的に働かされ、人権を無視され、命を命として認められていない労働者達の様子が描かれております。労働者達はもはやウジ虫扱い。死ぬまで働かせる。死ねば少しの慈悲もなしに死体を海に捨てる。これが実話だと言うのですから驚きです。読むこちらが痛くなるほどの衝撃を受けます。

人間は上に立ち、人を雇えば神様にでもなったつもりになるのでしょうか。労働者のおかげで商売が成り立っているというのに、その人権を無視する姿勢。本来なら大切に扱うべき労働者たちをあまりに残酷な形で働かせる。

利益さえ生まれれば、労働者の一人や二人死んでも構わない、搾取できる分には徹底的に搾取してやる!そういう残酷な表情が、腹立たしいほど露骨にブルジョア階級から窺えました。
ありえません。非人間的で非倫理的。労働者達は、船上であるために逃げ場がなく。経営者はコスト削減の為に劣悪な状況で労働者を酷使、管理職は自分の立場を守るために成績を上げなくてはならない。そのために人権をも認めない。

こういう厳しい時代があったことを、我々はもっと知っておくべきだと思いました。

こちらの本、クセのある文体で、おまけに難しいので勇気を出して買ってください(笑)内容もグロテスクですし。


蟹工船・党生活者 (新潮文庫)

蟹工船・党生活者 (新潮文庫)

  • 作者: 小林 多喜二
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1954/06/30
  • メディア: ペーパーバック

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思考の整理学と奇跡の教室から。学校側が頑張りすぎることによる勉強意欲の減衰。 [本 レビュー]

本日紹介する本は
「思考の整理学」と
「奇跡の教室」です。前にも紹介したことがあったような気がしますがもう一度改めて。
いっしょに紹介する理由は、学校における教え方の問題点に関する記述がどちらも類似しているためです。
憤慨していることはどちらも同じで、例えば、今の学校は先生がなんでもかんでも親切に教えすぎて生徒に考えさせる隙すら与えていないということが、とくに思考の整理学では強く書かれていました。論語読みの論語しらず、つまり知識はあっても自力では行動ができない生徒が多いのだと


例えば、教科書を読むだけの授業。(私の経験上非常に多くある。コアでも。)先生が読むにしても、先生が生徒に読ませるにしても押しつけ感が強い上に、考えることがなにもない。ただ流すだけの単調作業でなにも印象づけられないどころか、その教科に対して嫌悪を抱くほど。

昔の塾や道場というのは、すぐに教えるようなことはせず、むしろ教えるのを拒んで、例えば、剣の修行をしたいと思っている若者に薪割りや水くみをさせたりしていたらしいのです。当然、不満を抱きます。これが学習意欲を高めるために非常に効果的であることを、昔の教育者は心得ていたらしく。あえて教え惜しみをするのだそうで。それによって早く知りたい!という気持ちが強くなる。

考えてみると、確かにその通りです。聞くだけの授業はそもそも興味がわきません。だから眠くなる人が続出するのです。一人や二人寝ているのは、生徒の責任ですが、多数が眠くなる授業は、確実に教える側に責任があります。

つまらない映画のそれと同じで、見ていると眠くなる。見終わっても何も残らない。時間の無駄。こういう経験を誰もが一度はされたはず。

『奇跡の教室』はまさに奇跡。教えるのではなく、考えさせる。興味と知識欲を最大限まで湧かせる。200ページ?ほどしかない短い小説「銀の匙」だけで3年間も国語を教えたこの先生には感動です。


以下本文から抜粋
『なんとなくわかったで済まさない。』
『個性を大事に。その先に議論がある。』
『時間と手間をかけてじっくりと育てていけば、個性豊かな実りになる。』
『一人の職人による原酒は、作り手以外、だれの味見も、検査もなく、水や氷で割られることもなく、直接飲み手に供されるのである。』



 手間と時間をたっぷりかけることこそ、一番の贅沢な教育であると確信しました。国語がすべての学問の基礎になることは忘れたくありません。

思考の整理学 (ちくま文庫)

思考の整理学 (ちくま文庫)

  • 作者: 外山 滋比古
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1986/04/24
  • メディア: 文庫
    奇跡の教室 (小学館文庫)

    奇跡の教室 (小学館文庫)

    • 作者: 伊藤 氏貴
    • 出版社/メーカー: 小学館
    • 発売日: 2012/10/16
    • メディア: 文庫
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昭和の傑作「氷点」の魅力 三浦綾子 [本 レビュー]

こちらの本、読書の楽しみを一番最初に教えてくれた本でもあります。この本によって読書にハマりました。以来、著者の三浦綾子さんのファンになり、数十冊と読んできましたがどれもすばらしいです。希望を与えてくれます。生き方を考えさせられます。これから紹介していく本も三浦さんの著作が多くなるかも?

「氷点」はいわずもがな、昭和の大ベストセラーです。昭和生まれでご存じない方はいないはず?あの1千万円懸賞小説入賞作品で、著者の処女作でもあります。著者は旭川の方で、本の舞台も旭川。私はこの小説の舞台である、旭川の「見本林」には幾度も訪れております。そこには三浦綾子記念文学館もありますので是非。

さて、本の内容としては、かなりドロドロとしております。一歩踏み外せば昼ドラになりかねません。「この泥棒猫!」という台詞が出てきそうな感じ。そして、登場人物の設定が極端で、現実的ではない部分もあります。

通常であれば、こんな設定であれば単なる”大衆文学”で片付けられ、年月とともに風化して忘れられるのが普通です。ではなぜこの本が出版後年月が経っても読み継がれているのか。なぜ単なる大衆文学で終わらないのか。

私は考えます。著者の小説に込められた想いが確実に読者に伝わっているからだと。作者の必死な信仰を通しての想いは、「氷点」に限らず、どの著作からでも感じ取れます。読者を強くひきこむ文章は、単に文章力のみでは成り立ちません。この”想い”があってこその文章だと思うのです。

「氷点」には『原罪』というテーマが込められております。原罪とは生まれながらに持つ罪のことを言います。生まれてきたことに対する罪悪感を主人公は感じるのです。それも残酷な形で。

『原罪』を如実に表現するために、主人公は極端に設定されております。
「清廉潔白で非の打ち所のない少女」

そして母のこの上ない憎しみ。

この対比で実に巧妙に『原罪』が表現されているわけです。ネタバレはしたくないのであまり突っ込みませんが、とにかく一言一言に重みがあります。
復讐 憎しみ 罪  とちょっとドロドロしていますが、いろいろと考えさせられる作品です。ページをめくる手も止まらないことでしょう。

私の中で決して忘れることの出来ないこの傑作を一人でも多くの方に読んでいただきたく紹介いたしました。

氷点(上) (角川文庫)

氷点(上) (角川文庫)

  • 作者: 三浦 綾子
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/06/22
  • メディア: 文庫
氷点(下) (角川文庫)

氷点(下) (角川文庫)

  • 作者: 三浦 綾子
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/06/22
  • メディア: 文庫

 

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半端な気持ちでのダイエットは逆効果 [フィットネス]

よくダイエットしなきゃ!とプロテインダイエットを始めたり、食事制限をしてみたり、忙しいお方をたくさん見かけます。が、運動を続けてきた私の視点からでは、それらは全くもって無意味どころか逆効果になるとしか思えません。

痩せるには運動が必要ですし、特に”有酸素運動をどれだけできるか”というのが重要になってくるからです。単に食事制限をしたところで、一時的に痩せて脂肪も落ちるかもしれませんが、当然筋肉も落ちます。筋肉量と基礎代謝(一日中寝ていても消費するカロリー)は比例の関係にあり、筋肉が落ちるということは自動的に基礎代謝も落ちるということになります。これは食事制限による"太りやすい体作り”に他なりません。だからリバウンドが起こるのです。

本当に痩せたいのであれば、長期的な目で筋肉量を増やしながらの有酸素運動ほど効果的なものはありません。日常的にこの運動ができれば、太りにくい体がいつのまにかできあがっております。私など一日3食じゃ足りず、5食も6食もすることがありますが、太る気配すらありません。計ってみても体脂肪率は全く変わりません。 つまり適切な運動さえすれば、食事制限で悶々とストレスを溜める必要はなくなるのです。お金をかけてダイエット食品を買うなど信じられません。お金の無駄です。

突然のジョギングは膝に負担ですから、ウォーキングから始めてみたり、軽く筋トレをするだけでもかなり違ってきます。ただし継続しなければ無意味です。食事制限みたいに逆効果になることはありませんが、続けることが大切です。ここまで来るのが大変であろうと思いますが、私からしてみれば、食事制限よりは楽なはず・・・。

 


順調にフィットネスが進んでおります。 [フィットネス]

5月はサイクリングが500km越えとなかなか順調でございます。ジムにも通い始め、体脂肪率を維持しながらの増量にも成功しました。4kg増えました。おかげで体格が変わりつつあります。この調子で肉体改造を進めます!

で、ジムですが、なかなか素晴らしく、とくにベンチプレスと、角度の付いたベンチでの腹筋。これが効きますね。まさに腹筋崩壊です。 

話しは変わりますが、フードバレーとかちマラソンのポスター作りを市役所から学校へ依頼され、私たちが授業で作成し、校内選抜で上位5名を選び、それを市役所に提出するということをやっていました。で、見事に私が4位に選ばれまして、最終調整をプロの講師の方と行いました。が、その最終調整がやっと完了するという段階にきて、学校に来ていた業者の人がブレーカーと暖房の電源を間違え、制作途中のファイルが消失。学校の態度は相変わらず傲慢。さすがに腹が立ちましたのでいろいろと後で記事にする予定です。それにしても、このタイミングでなぜ邪魔をするのでしょう。完全にやる気を失いました・・・

ありえません。 


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