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昭和の傑作「氷点」の魅力 三浦綾子 [本 レビュー]

こちらの本、読書の楽しみを一番最初に教えてくれた本でもあります。この本によって読書にハマりました。以来、著者の三浦綾子さんのファンになり、数十冊と読んできましたがどれもすばらしいです。希望を与えてくれます。生き方を考えさせられます。これから紹介していく本も三浦さんの著作が多くなるかも?

「氷点」はいわずもがな、昭和の大ベストセラーです。昭和生まれでご存じない方はいないはず?あの1千万円懸賞小説入賞作品で、著者の処女作でもあります。著者は旭川の方で、本の舞台も旭川。私はこの小説の舞台である、旭川の「見本林」には幾度も訪れております。そこには三浦綾子記念文学館もありますので是非。

さて、本の内容としては、かなりドロドロとしております。一歩踏み外せば昼ドラになりかねません。「この泥棒猫!」という台詞が出てきそうな感じ。そして、登場人物の設定が極端で、現実的ではない部分もあります。

通常であれば、こんな設定であれば単なる”大衆文学”で片付けられ、年月とともに風化して忘れられるのが普通です。ではなぜこの本が出版後年月が経っても読み継がれているのか。なぜ単なる大衆文学で終わらないのか。

私は考えます。著者の小説に込められた想いが確実に読者に伝わっているからだと。作者の必死な信仰を通しての想いは、「氷点」に限らず、どの著作からでも感じ取れます。読者を強くひきこむ文章は、単に文章力のみでは成り立ちません。この”想い”があってこその文章だと思うのです。

「氷点」には『原罪』というテーマが込められております。原罪とは生まれながらに持つ罪のことを言います。生まれてきたことに対する罪悪感を主人公は感じるのです。それも残酷な形で。

『原罪』を如実に表現するために、主人公は極端に設定されております。
「清廉潔白で非の打ち所のない少女」

そして母のこの上ない憎しみ。

この対比で実に巧妙に『原罪』が表現されているわけです。ネタバレはしたくないのであまり突っ込みませんが、とにかく一言一言に重みがあります。
復讐 憎しみ 罪  とちょっとドロドロしていますが、いろいろと考えさせられる作品です。ページをめくる手も止まらないことでしょう。

私の中で決して忘れることの出来ないこの傑作を一人でも多くの方に読んでいただきたく紹介いたしました。

氷点(上) (角川文庫)

氷点(上) (角川文庫)

  • 作者: 三浦 綾子
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/06/22
  • メディア: 文庫
氷点(下) (角川文庫)

氷点(下) (角川文庫)

  • 作者: 三浦 綾子
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/06/22
  • メディア: 文庫

 

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