SSブログ
本 レビュー ブログトップ
- | 次の10件

上手に文章を書く方法とは?苦手な方必見・必読! [本 レビュー]

 文章をうまく書くには、それなりに頭を使い、多くの語彙を知っている必要があります。しかし、決して難しくはありません。確かに語彙力といったら、難しくも感じます。これは私の解釈ですが、言語の本来持つ「伝達」という役目を、果たせればそれでいいのです。つまり、中学生でも理解の出来る文章が書ければ、それだけで十分なのです。なにも難しい言葉を羅列しなくたっていい。羅列したところで伝わらなければ言語は機能せず、無意味です。

 これから紹介するのは、そんな私が特に良質であると、名著であると感じた本であります。わけても谷崎潤一郎の「文章読本」については、後にも先にもこれに勝る文章本はないと思ってよろしいかと。

10294009478.jpg

三島由紀夫、丸谷才一からも同じ「文章読本」という著作が出版されております。私は三島由紀夫のものだけ読んだのですが、やはりどこか物足りなさというか、 谷崎ほど深く文章については説いていない印象を受けました。作家としては三島由紀夫も谷崎に匹敵するのですが。

1029494378.jpg

文章読本ではありませんが、清水幾多郎著の「論文の書き方」。これについては谷崎のそれに並ぶ名著かと存じます。文章力を磨きたい方には必読の書でしょう。

CIMG7782.jpg

一通り紹介致しましたが、谷崎の「文章読本」、清水幾多郎の「論文の書き方」は絶対に読むべきです。これを読まずして文章は語れません。まして文章力をこれなしで磨こうなど以てのほか。出直してこいという話。それだけの名著ですから、内容についても保証します。

 では谷崎の「文章読本」

谷崎はこう述べております。

「この読本で取り扱うのは、専門の学術的な文章でなく、我等が日常眼に触れるところの、一般的、実用的な文章であります。」

谷崎はまず文章を書く上で国語についてよく知っておくことが大切だと主張。この点にかんしては日本に住む以上、なかなか意識しづらいことでありますから、よい気づきになるでしょう。 

 本の構成としては、
一 文章とはなにか
・言語と文章
・実用的な文章と芸術的な文章
・現代文と古典文
・西洋の文章と日本の文章

次にいよいよ実用的なことを。 

二 文章の上達法 
・文法に囚われないこと
・感覚を研くこと

三 文章の要素
・文章の要素に六つあること
・用語について
・調子について
・文体について
・体裁について
・品格について
・含蓄について

以上の三章で構成され、それぞれが実に詳細に大文豪らしく的確に言語の本質について説いています。

私が説明したところでダラダラしてしまうので(笑)
外山教授を呼びました。 「思考の整理学」で有名な方です。彼も本書を賞賛。ぜひ魅力について知っていただきたくURLを貼ります。

http://www.trannet.co.jp/pre_up/new_column/2008/1215/kosei_10.html

 

時間が押してしまって、簡単な更新になってしまいましたが、この2冊は本当におすすめです!

文章読本 (中公文庫)

文章読本 (中公文庫)

  • 作者: 谷崎 潤一郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1996/02/18
  • メディア: 文庫

 

論文の書き方 (岩波新書)

論文の書き方 (岩波新書)

  • 作者: 清水 幾太郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1959/03/17
  • メディア: 新書

人の失敗を笑うべし!不道徳という名の道徳。不道徳教育講座 [本 レビュー]

CIMG7754.JPG

本の紹介です。今回は三島由紀夫!

 三島由紀夫といえば堅苦しい小説で有名ですが、(例えば金閣寺・仮面の告白・・・など)。氏は純文学に限らず、大衆文学に至るまで、多様なジャンルに挑戦してきた作家であります。むろん、エッセイも数多く遺しており、その内容も実に秀逸です。本書は堅苦しさとは一変、非常に読みやすい文体で、説話的手法を用いているため、より著者に接近した形でわかりやすく読むことができるのであります。

 前置きが長くなっては読者様に逃げられてしまいますので、まず目次を紹介することにしましょう。コチコチ頭の学校の先生とかに見られると怒られそうな内容です(笑)

c8e24f9162e4f9b43db038c8ac059948.png 

0c1f136759d914565e7dba3aac364fe3.png

 

  なかなか興味深く思われた方もいらっしゃるかも知れません。 本当に痛快です。太宰治や石原慎太郎を平気で名前を出してディスってるあたりも、三島由紀夫らしい!

 特におもしろかったのが、いろいろありますが・・・人の失敗を笑うべしなどは、笑い転げました。公約を履行するなかれ、は今の政治家達に読ませてやりたい内容であります。タイトルこそ不道徳極まり御座いませんが、よくよく読んでみますと、さすが、巧みな逆説を用い、結果”道徳”へとつなげております。この辺りは読んでいて楽しいですね。頭も使います。

 では、人の失敗を笑うべし から。 

 これに関してはまず、三島自身の体験談から書かれています。

「路ばたの銀色のクサリをスマートに飛び越そうとして、無念や、足がクサリに引っかかり、スッテンコロリと転倒したことがあります。そのとき、忽ち身を起こして、そしらぬ顔をして歩き出した私の、復原力の速さは見ものであって、およそその間、百分の一秒ほどであったでしょう」

この時点で楽しげです。どういう風に話が進むのか、読者はワクワクします。

三島は自分の体面になんぞ構うべきではない。体面を気にするのは人生に対する愚か者だ、と一蹴。人の失敗を笑う人間の顔こそ、最も人間らしい、愛すべき笑い顔なのだそうだ。

「どんな功利主義者も、策謀家も、自分に何の利害関係もない他人の失敗を笑う瞬間には、ひどく無邪気になり、純真になります。誰でも人の好さが丸出しになり、目は子供っぽい光に充たされます。気取り屋の男が、スッテンコロリと転倒する風景は誰でもが只で見物できるお祭りです。実際他人の失敗というものは、人生の大きな慰め、愉快なお祭りであります。ナゼ私は、人々にとってのその折角のお祭りを、僅か百分の一秒で終わらせるような意地悪をしたのでしょう。愉快なお祭りは、少しでも永く続くべきなのだ。」

なるほど、そう言われてみれば確かにそうだ。普段意識せずとも、こうして人の失敗で我々は人生に花を咲かせているのですね。 

 「 あんまり良く磨かれた硝子窓に、硝子がないものと思って、頭をぶっつける男を見ることは、何という愉しさでしょう。

 ヒゲソリクリームを塗るつもりで、一生懸命、ほっぺたにライオン歯磨を塗っている男を見ることは、なんと愉快でしょう

 芝居に夢中になって、膝の上のノリマキ弁当を、みんな床にころがしてしまうお婆さんを見ることは、なんとステキでしょう

 自動販売機にチャンと故障と書いてあるのに気づかず、いくつも十円玉をギセイにして、頭から湯気を立てているおじさんを見ることはなんて嬉しいんでしょう 」

 

「こういうことがなかったら、人生はどんなに退屈か、よく考えてみる必要があります。それなら、ふとした失敗で、人の退屈を救うと言うことほど、人生に対する大きな寄与はないのであって、しかもしれによって、われわれは沢山の人間の、純真な、無邪気な、美しい笑顔を見ることが出来るのであります。」 

 

論理はまず、失敗の具体例をあげ、読者を笑わせることから始めるのです。そのあと、見事な展開で、三島はこの不道徳を、逆説によって道徳へ変換させるのであります。

「ソ連だの、中共だのという国は、妙に可愛げがない。それは彼らのお題目が、みんな人類全体のつながりを強調するやり方で、それについて自分の方はなにも支払わないからです。これらの国が、もっと人の目の見えるところで滑稽な失敗を演じたら、どんなに愛されるか知れないのに、ソ連も中共も、未だかつて失敗したことのないような顔をしています。毛沢東氏が、忽然ニューヨークにあらわれて、地下鉄の中で、ズボンのお尻に大きな穴が開いているのも知らずにいたら、どんなに世界平和に寄与することでありましょう。 戦時中の女性でアメリカの俘虜を見て、「お可愛そうに!」と言ったので問題を起こした事件があったが、私はこういう、嘲笑を欠いたセンチメンタルな同情と、好戦主義とは紙一重だと思います。嘲ることができないので、人は戦うのです。嘲られていちいち決闘していた西洋中世の武士達はやっぱり、野蛮人の一種であったと思われる。」 

 

 

 次に公約を履行するなかれ

これこそ、日本の舌先三寸の政治家どもに読ませてやりたい”不道徳”であります。あまりに痛快すぎて、三島由紀夫を崇拝してしまうほどでした。

「多少とも実現可能な具体的な公約をかかげているのは、多少とも当選圏内にある候補であって、当選の可能性が遠のくほど、公約も空想的夢幻的神秘的になって行きます。これは人間の心理としても当然なことでしょうが、政治と理想主義との昔ながらの反比例の関係が、こんな所にも良く現れています。
 しかし、我々が一等ごまかされやすいのは、一見現実的、一見具体的、一見実現可能にみえるような公約です。「明日君に一千万円あげるよ」と言えば、誰も信じないが、「明日君に三千円あげる」と言えば、つい信じてしまうようなものである。結局もらわない点では、一千万円も三千円も同じなのですが。 何の選挙でも、一千万円の約束より三千円の約束の方が安心だと思って投票すると、その三千円ももらえないでバカを見るのである。
 そこで私は提案するのだが、「公約は一切履行せず」とはじめからおとこらしくスッパリ宣言する候補は出ないものだろうか。これは餌をつけずに魚を釣るやり方で、よほど自信がないとできません。しかし、こういうやり方が一般化すれば、「公約不履行」でブツブツ言われる恐れもないし、選挙される方も、する方も、気が楽なのである。これだけの人間的信頼を寄せられたら、それだけで政治家としては百点満点です。

 ただ、本の内容を引用してるだけになってしまっていますが、これだけは伝えたかったのです。そして、もっとも共感したのです。政治家に限らず、我々の日常でも同じようなことは度々あるのではないでしょうか。 就職の面接だとかで、我々は立派な公約を掲げます。進学にしてもバイトにしても、口だけは立派です。だが、そんなこと、一年もすればスッカリサッパリ忘れてしまう。人間というものに、公約を守れる者など一人も存在しない、ということを語っているのです。なるほど、公約を履行せず、と言う公約は男らしいし、勇気もあります。

  こんな感じで紹介してきたが、各項目ごと、痛快さとユーモアを混じらせながら、不道徳によって道徳へと導いてくれるのです。画像の、本が汚いのも、私が本書を座右の書として、愛読しているからであります。結局は道徳ですから、日々の暮らしでも役に立つことばかり。興味を持たれた方、是非!!!

 

不道徳教育講座 (角川文庫)

不道徳教育講座 (角川文庫)

  • 作者: 三島 由紀夫
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1967/11
  • メディア: 文庫

 


感動の名作!三浦綾子の愛に満ちた生涯! [本 レビュー]

 旭川の三浦綾子記念文学館へ行ったという記事を以前書いた。そこでも紹介した「道ありき」について軽く感想を述べたいと思う。 
 
 そもそも私がなぜ三浦綾子文学に出会うことができたのか。そこから説明したく思う。高校2年生のときだった。ある友人から「氷点」を勧められたのである。そのころは、読書経験も乏しく、本に関する知識もなかったため、この作品のことを全く知らなかった。新聞小説で1000万円当選したと言うことも、社会現象を引き起こしたと言うこともまったくさっぱり知らなかった。
 
 
 だから、どんな内容の本なのかというのと、昔の本で難しくはないか?という不安があった。試しに1ページ、2ページ、3ページ・・・と読んでいくうちについには最後のページまで達していた。人間の罪深さ、生まれながらに背負う罪、そしてその醜さ等々があまりに重苦しく、あまりに寂しく描かれていた。読書経験の少ない私にとってこのことは、とんでもない衝撃だったのである。 
 
CIMG7749.jpg
 
 これが私の三浦文学の出発点であり、それにハマらせた、直接的要因を為すものである。以来実に多くの三浦文学に親しみ、そのテーマの切実さを読み取ってきた。
 
 CIMG7752.jpg
 
 その過程の中で出会った、 最も私に迫り、最も衝撃を受けたのが、前述の「道ありき」である。本書は作者の自伝小説なるもので、実体験を元に書かれている。青春編ということで、作者が小学校教師であった時分から、三浦光世と結婚するまでのお話である。
 
 いよいよここからが本題。
 CIMG7750.jpg
  
 私が幾度もTwitterで賞賛し、友人に勧め、本当に素晴らしい本だと思うのも、作者が真実を述べているからであろう。如何に本書の魅力をうまく伝えられるか、難しいところではあるが、ぜひ読んでいただきたい。
 
愛とは何か。生きるとは何か。信じるとは何か。作者はこの問を、感動とともに私たち読者に与える。そしてその問を自伝という形で解いていく。敗戦の衝撃、病に冒される身体、自分に起きたこととして考えれば、虚無になり、死にたくなるのも無理はない。私も同様に生きる希望を失うであろう。そして、自分には綾子を救う力がない、と自らの足を石で打って自責した前川氏。自分を犠牲にしてまで恋人を救いたいという程の愛は通常なかなか持てぬものである。かくもストイックで偽りのない真実なる愛があるとは…感動感激の連続であった。 
   
 
 今も昔も、(昔のことはよくわからないが)青春時代の恋愛というと、どこか遊びめいたところがあり、とりあえず付き合うといった、相手と自分の心を軽んじ、ただ寂しさを埋め合わせるための恋愛というのが実に多いように思える。そしてその恋愛の形態というのも、心を通じ合わせるというより、肉体と肉体の交わりだけで終わるということが多いのではないか。更には、相手の全てを受けいれられず、あの頃は良かったのに今は!といった風に幻滅したり、恋人が病に冒されたりすると、病気のお前なんぞ愛せるわけがない!と捨ててしまうことも多いのではないか。若い時代というのはかくてすぐに付き合いすぐに別れることの繰り返しで、美しさも無ければ真実もないし、愛も無論ないのだ。
 
 なにも私はプラトニックラブ至上主義者ではないし、クリスチャンでもセバスチャンでもない。だが、あまりに恋愛というのが粗略になり、恋愛と言うに値しない状況に陥っている事例の多い現状において、前述の点すべては、改善されるべきであると思う。
 
 青春時代の恋愛というのは(別に青春時代に限ったことではないが)実に問題点が多く、どうせすぐに別れるなら、最初から付き合うなという話。それなら友達の関係でいれば苦しむこともないし、執着することもないのだ。
 
 以上の点すべてに該当しないのが綾子氏の恋愛である。道ありきではその真実なる愛が語られている。綾子氏は前川正という男性に愛され、虚無から救われた。死にたいという綾子氏に対して、前川氏は驚くほど愛に満ちた、さらには自己犠牲的な愛を示している。そのシーンはいくつかあったが、あの春光台の、石で叩くシーンは今も忘れられない。
 
 「綾ちゃんは女でしょう。女である以上、生活の相手である男性というものを、ほんとうの意味で知らなくてはいけませんよ。男性をきれいなものに思い描いていて、その思い描いた幻と結婚したりするから、世には不幸な結婚も多いのですよ。」という前川氏の発言。なんて正直で、真実なる言葉であろうか。恋人の前では良いことばかりアピールして、なかなかこうしたことを言えるものではない。
 
「愛するとは 相手を自立させてあげること」 なるほど共感。
 
その後の前川氏の動向についてはココでは述べないが、綾子氏の心情だとか、前川氏の一つ一つの言葉はじっくり読むべきである。 
 
 その後、脊椎カリエスを発病した綾子氏は、14年間も、寝返りの許されないギプスベッドに臥ることになった。いつ治るかもわからない。それでいてなにもすることができない。死にたくなるのも当然である。私が同じ立場だったら生きる希望をなくすであろう。
 そんななか、現れたのが光世氏である。病気の綾子氏を受けいれ、結婚してくれた。彼こそが「相手を自立」させうる男性であった。もう、感動の連続で涙が止まらなかった。
 
 とにもかくにも、だらだらと書いてきたが、私の文章力と脳みそじゃ、内容をそのまま書いていくだけになってしまうので、是非とも少しでも興味を持たれたら、一度読んでいただきたい。
 あるべき恋愛の姿、愛すること、生きる喜びを本書で知ることができるだろう。
CIMG7753.jpg 
あれ?2013年になってるww 
 
道ありき―青春編 (新潮文庫)

道ありき―青春編 (新潮文庫)

  • 作者: 三浦 綾子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1980/03
  • メディア: 文庫
氷点(上) (角川文庫)

氷点(上) (角川文庫)

  • 作者: 三浦 綾子
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/06/22
  • メディア: 文庫
氷点(下) (角川文庫)

氷点(下) (角川文庫)

  • 作者: 三浦 綾子
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/06/22
  • メディア: 文庫
 
 
 

朝食抜き!ときどき断食! 免疫力・自然治癒力健康法 [本 レビュー]

今回は大変興味深い本を読んだので紹介したいと思う。

朝食抜き!ときどき断食!―免疫力・自然治癒力健康法 (講談社プラスアルファ新書)

朝食抜き!ときどき断食!―免疫力・自然治癒力健康法 (講談社プラスアルファ新書)

  • 作者: 渡辺 正
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2003/12
  • メディア: 単行本

 

 

 

続きを読む


- | 次の10件 本 レビュー ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。